【刀ミュ】陸奥一蓮についてセトリとネタバレ感想

本丸で過ごす刀剣男士

三日月宗近が阿弖流為と母禮に、おそらくは処刑前日に出会っている冒頭。

一振りで過去を遡りあちこちで暗躍してる風なのがよく分かりますな。

三日月の美しい独唱から一転して本丸。

鶴丸の独唱から入るの美しすぎる。
「羽を畳んで耳を澄まそう 欠けて満ちる音が聞こえるまで」と歌うのも意味深です。
三日月を待っているんだと歌ってますね？

新たに本丸の花当番になった大包平を連れて庭を散策している水心子たちは一本の大きな桜の木にたどり着く。

加州と蜂須賀とも合流し、彼らの会話の中で、本丸は刀剣男士が顕現するたびに桜の木を1本植えるという噂があることを知るも、花当番だった水心子は帳面を見ながら「桜の数の方が1本多い」と言います。

メモを取ってる水心子真面目だなとか色々ありますが…。

刀剣男士が顕現するたび植えられる桜の木は、現在顕現している男士の数より1本多い…それはもうあれですね。

「本丸には今はもういない刀が一振りいる」ってことですよね。

何かを知ってる風な加州といい、初っ端から不穏。

「俺もそろそろ待つのは限界なんだけど」と歌う加州。

不穏さが天元突破してる。
しかしながら三日月から鶴丸、そして加州という歌ウマ独唱三連星。

すでに満足感もすごい。

不穏さと満足感とで序盤から情緒が反復横跳びしてるんですが。

戦の前に

審神者の指令は平安初期、794年頃の東北、陸奥の国に向かうこと。

鶴丸のメンタルがヤバい。いや、ホントに、今までも結構ヤバいなギリギリだなとは思ってましたが三日月が関わってると分かった瞬間にブレーキが吹っ飛んだようになるのどうした。

審神者には冗談めかした風に言ってたけどかなり本気だろうし、正直に言うと「お前を殺して俺も死ぬ」ってルビが見えた気がする。

パライソを想起させる台詞もありましたし、鶴丸お前…「辛い時は笑え」という伊達政宗への教えをそのまま体現してるんじゃないか？
本音を隠して一振りで立っているように見えて、三日月が関わるとギリギリで隠した本音が見えるのかな？

誰か大倶利伽羅を連れてきてほしい。鶴丸のメンタルサポートが急務。

鶴丸「約束はいつから呪いになるんだろうな」

かつて誰かと交わした約束を呪いのように重荷に感じているのでしょうかね。

三日月か、本丸にいない一振りの刀か。

蝦夷と大和朝廷の戦い

蝦夷と朝廷は長年戦い続け、戦況は末期に近づいている時代。

坂上田村麻呂は肝が据わったちょっとお茶目なおっさん。
ついでに言うと中の人は東京心覚で天海上人を演じられた三上市朗みかみいちろうさん。
ソハヤノツルキの本歌と写しの両方の持ち主にキャスティングされてて、ソハヤ関連の専属主になっております。
こういうキャスティング個人的にめちゃくちゃ好き。

ソハヤノツルキについても強い物語をもつ刀だと言われていて、やっぱ作中で触れられると嬉しいですね。

資料によると阿弖流為たちは12年以上戦ったらしいです。
そりゃあ人材も食料も尽きるし、内部崩壊を起こしかけているのも仕方ないかもしれません。

悩める英雄 阿弖流為と彼を支える副官の母禮。

戦友である彼らの手合わせを見守る山姥切国広から見て、三日月と鶴丸の手合わせがリンクし移り変わっていきます。

嬉しそうに楽しそうに笑い合いながら手合わせをする二振りと、そこに切ないメロディのソロを合わせる国広。

なにこれ絵画？

過去の思い出でしょうが鶴丸にもこんなに屈託なく笑ったことがあるのか。

今の鶴丸は「はっはっは！」って強気に笑い飛ばすみたいな笑い方なので逆に新鮮というか、だからこそ空元気に見えて悲しいというか。

辛い時ほど笑うという伊達の刀の矜持があるのだろう鶴丸ですが、三日月と相対したときはそんな歪な笑顔すら浮かべられなくなってるんですよね。
ずっと顔が強ばって張りつめた顔をしておる…。

蝦夷の子どもと対峙する三日月も切ない。救いはどこにある。

撤退

時間遡行軍の襲撃から坂上田村麻呂を守る刀剣男士たち。

任務達成かと思いきや、しかしそこに検非違使が現れる。

加州がジャケット脱いだ！いや血塗れだが！？全員が中傷に！

なんとか検非違使を退けたものの、一度撤退することを鶴丸は選びます。

大包平「ここで帰るなど刀剣男士の名折れだ！」

強行しようとする大包平に鶴丸は「自分の痛みに鈍感になれば周りが迷惑だ」と諭すわけですが大包平の傷を抉りながらです痛い痛い。

厚樫山異聞での加州と石切丸のやり取りを思い出します。

が、鶴丸メンタル大丈夫か？？？？？

痛みに鈍感になるなと言いながら、自分の心の痛みには鈍感になっているように見える…。

あまりに鶴丸らしくないというか伊達双騎やパライソでもそうでしたが、自分から憎まれ役になりに行ってる気がする。

マジで誰か大倶利伽羅かカウンセラー連れてきて。

再戦

本丸に戻り手入れを受けた大包平は鶴丸に謝罪。

あの流れで自分の非を認められる大包平はマジで光。

加州に対しても事情を知りたくないのかと、何のために口があるのかと大包平は心情をぶつけつつも「八つ当たりだ」と謝れる大包平マジ大包平。

でもよくぞ言ってくれた。たぶん大多数の審神者の心情を代弁してくれた。

言葉にしろ。報連相しろ。頼むから。

鶯丸みてくれ、お前の兄弟は今日も最高だ。

手入れを終えた後に戦装束のまま資料室で検非違使対策を調べようとする水心子、この探求心こそが新々刀の祖たる由縁でしょうね。
うっかり居眠りしてしまったり差し入れの大福に無邪気に喜んだりするところがとても可愛い。

そしてそんな水心子を気遣う蜂須賀。マジ天女。

蜂須賀虎徹の気遣いと品の良さと清磨の心づくしを伝える優しさを併せもってる。
さらには自室で刀を手入れして次の戦いへ臨む気概もある。さすが虎徹の真作。

鼻リコーダー隠蔽200あるとか言われててリアルに噴いたのは秘密です。

鶴丸が撤退を選んだのもあの時代には三日月が残っていたからだというのも仲間を理解してる感があって、素晴らしいですね。

三日月も鶴丸もピリピリしていて、国広も何かを抱えていて、そんな彼らを気遣うあまりに踏み込めずにいる加州や三日月や人の想いに引きずられやすい水心子。
そんなどこか不安定な彼らを叱咤して前を向かせようとする大包平と支えようとする蜂須賀。

今作がこのメンバーで良かった。
蜂須賀の出番が少ないように感じましたが、随所で見せる気遣いが緩衝材のようでした。
天狼を乗り越えた蜂須賀は安定感がありますね。

撤退した後にそれぞれが刀を手入れしたり手合わせをしたり鍛錬したりと、次の戦に臨む姿も見られて解釈一致で解像度も上がる。

ただし加州と国広、お前たちはダメだ。

「次の出陣から戻ってきたら事情を話す」

審神者もめちゃくちゃそれ知りたいですが、フラグを建てるな。

命の使いどころ

再度出陣した先では坂上田村麻呂に阿弖流為と母禮が捕まったところ。史実通り、ではあります。

阿弖流為たちを京の都へ護送するための護衛を引き受けた刀剣男士たち。

その中で田村麻呂や阿弖流為たちと会話し、彼らのことを知っていきます。

戦うことは無益か。この先で阿弖流為たちが死ぬことは無駄死になのか。

陸奥の地に生まれて生き、そして死ぬ。
ここで生まれたから、そのために生き切ったのだということでしょうか。

蜂須賀や加州は今まで関わった持ち主たちのことも思い出していきます。

何のために命を使うかを自分で決め、覚悟を決める姿は格好いいです。

彼らの死によって、この先の無益な戦いを起こさせないこと。

きっとそこが田村麻呂と阿弖流為たちが共通してもっている考えなのでしょうね。

三日月は阿弖流為たちを逃がそうともしましたが、自分たちは何度目だと、今までに三日月の言うとおりに逃げた自分たちはいるのかと問いかけ、三日月は困ったように笑います。

彼らに、自身の命の使いどころはここなのだと言われた気がしました。

そして何回も同じやりとりをしてるのか三日月宗近。お前もか三日月宗近。

このまま史実通りに進むのかと思いきや再び検非違使の出現！

加州のピンチに殿として真っ先に駆けだしていく鶴丸と国広。

今までと同じ自己犠牲のようですが、今までとは少し違うようにも思えました。

隊長命令で折れるなと叫ぶ国広。
江水での希死念慮が薄れてるような。かつてのような投げやり感はあまり感じられませんでした。

前に考察で呟いたんですが、過去に折れた刀が居ることで山姥切国広は「生き残った自分は彼と同じように誰かを守って折れるべき」だと考えていて江水では大包平たちを庇って折れようとして、鶴丸国永は「誰かの犠牲で生き残ってしまった弱い自分のようにはなるな」と江や大倶利伽羅など新刃を強くしようとスパルタしていたのかなと思っています。

鶴丸はついでに、「あえて憎まれ役になって例え自分が折れても誰も悲しまないようにしよう」とか考えてそうで嫌。
誰かカウンセラー呼んできて。大倶利伽羅と豊前江も。

鶴丸お前、自分がただの憎まれ役で誰からも慕われていないとか思ってるなら節穴もいいとこだからな？
豊前を見てみろ。鶴丸の隊長としての生き方・やり方に感銘を受けちゃってるんだぞ。江おんでお芝居するときにも一番に誘いに行くくらい慕ってるんだぞ。

ぜんぶ終わったら三日月とのいざこざに巻き込んでボコボコにした水心子に三日月と一緒に土下座しときんさいよ…。
たぶん伽羅ちゃんも一緒に頭下げてくれる。（伽羅ちゃんにも謝った方がいいけど伽羅ちゃんは一応2部で鶴丸をボコってやり返したから）（水心子は鶴丸にやり返さないし許すと思う。だが清磨が許すかな？）

今まで三日月とのいざこざには誰も巻き込まなかった（大倶利伽羅には弱音を見せたくらい）鶴丸が水心子を巻き込んだってことは何か意味があるんだろうな。

鶴丸「自分はもう三日月には寄り添えないから代わりに付き合ってやってくれ」というそのまんまな解釈をしたんですが。

ひょっとしてみほとせとあおさくみたいに連作で続編くるか？
三日月と鶴丸のいざこざと初期刀問題の解決編で、水心子がキーポイントになるみたいな。

鶴丸はまだ時間がかかりそうですが、国広の希死念慮が薄れたのは大包平が居たからではないかと思います。

大包平マジ光の男。

三日月とも共闘し、加州が自らの手で決着をつけた瞬間は快哉を叫びました。

てめえの落とし前は自分で付けれる刀だ！さすが加州！！世界一可愛くて格好いい！！

無茶した加州はその後で国広に地味に怒られてましたが（とても可愛い）

過去回想

場面は変わり、三日月が本丸初期を回想していますが、まだ何か色々ありそうです。

ミュ本丸の顕現順は恐らく、初期刀・初鍛刀の次が三日月宗近、鶴丸国永、そして山姥切国広。

このあとにもう一振りを加えた6振りで過去に飛び、そして何かがあった。

何があったか、結局は詳しいことはまだ分からず仕舞いです。

分かったのは、最初期に顕現した鶴丸と三日月に和歌を教えた刀がいたこと、一人称が「僕」で、相手を「君」と呼び、自分たちを花に例える雅な刀がいたこと、仲間の顕現に合わせて桜の木を植えようと提案していたこと。

そして出陣した先で国広を庇って鶴丸と約束をした誰かに何かがあった。それもいつもとは違う平安末期の北の地で。

これは…決定的な何かは誰も言ってないですがこれは…。

本丸にいる刀の数と桜の木の数が1本合わないというのも、ミュ本丸審神者は代わりの誰かを顕現することはしなかったんだなと目頭が熱くなりますな…。

三日月は何かを探していると言い、鶴丸はそれが見つけられないものだと言っていました。

三日月は居なくなった刀を探して彷徨っているんでしょうか。もしくは「居なくなった刀が消えずに存在する歴史」を探しているんでしょうか。

最初期に顕現した組は居なくなった刀に囚われ過ぎている気がします。

ひょっとしたらそれが「約束が呪いになった」ということかもしれません。

ところでみなさん、鶴丸が刀ミュに初出演した葵咲本紀は観ているでしょうか。

まだの方は鶴丸の初ソロ「キミと見上げたあの日の空に」をぜひ観てください。
歌詞を見るだけでも泣ける。

鶴丸国永は最初に登場したときから、ソロ曲の歌詞が行動原理の根幹にあるのかなと思っています。（失った友と月のこととそれらを抱えて歩いていこうって最初っからド直球過ぎる）

「契り交わした 友の声が 今も響くよ」

「悲しみさえも強さに変えながら」

「失った友の分も生きて」

「これが正しいかなんて分からないけど 立ち止まることはできないから」

三百年の子守唄 と連作なのでできれば、みほとせから見てもらいたい。

前後編の後編から見てもOKならミュージカル『刀剣乱舞』 ～葵咲本紀～からでもいいと思います。

三日月は本丸には戻らず、また一振りで歩き出します。

共闘はしてもまだ同じ道は歩けないってことか。

そんな彼に伝える言葉が水心子と鶴丸からで、あぁ…パライソも東京心覚も三日月に伝わっていたんだなと、彼は1人きりではなかったと言葉は届いていたのだと感じられました。

本音を言えば本丸に戻って美味しいご飯食べてふかふかの布団にくるまれて寝ろと思いますが。

過去編を含めて解決したというよりも、ここから再び始まるってされた感じです。

マジでみほとせとあおさくみたいに連作になるんでしょうか。

中の人のスケジュールを年単位で抑えてほしい。
審神者の胃と情緒のために2024年中に一区切りつけてくれ…。

救いはあるか

ちなみにですが、刀剣乱舞のゲームで対大侵冠防人作戦というイベントがありました。全審神者が敵と戦うかつてない規模のレイド戦。それによってゲーム刀剣乱舞は第一節が終幕しました。

そのイベントの中では行方不明になった三日月宗近を連れ戻すのは初期刀なんですよね。

三日月宗近を取り戻すには初期刀の力が必要だということかもしれません。
おっと刀ステ履修済み審神者にも流れ弾がきたぞ。

そしてゲームの中で初期刀を折ってしまった審神者にも「はじまりの一振り」が与えられるという救済措置がありました。
ひょっとしたら三日月宗近の探し物は見つかるかもしれないな…と、ほんの少しだけ希望を見いだせた気がします。

もっというと、大演練みたいな刀剣乱舞2.5総出演で、「対大侵冠防人作戦」をやりませんかね。

ミュとステ両方で三日月を力づくで取り戻してハッピーエンドにしてほしい。

あとは初鍛刀と6振り目って誰かってのが気になりますね。
個人的には愛染国俊と大般若長光かなと思ったり。

愛染と蛍丸の保護者だと名乗る明石国行ですが、あおさくでは終始様子がおかしかったので、愛染になにかあったのかな、というのと。
大般若は長谷部より古参で、探し物をしていると言っていたのでそこからの推測ですが。

長谷部より大般若が古参かなと思ったのは花影で、感想でも少し触れています。

保護者を自称する刀から被保護者を引っぺがしたらどんな明石国行になるかを葵咲本紀で見せてきたようだと前に少し触れたのはすえひろがりのときでしたか。

色々な感想は置いといて、ミュ本丸の審神者は自分は出来が良くなかったと言っていましたが、少なくとも鍛刀運は凄い。

桜と鶴と三日月と

本丸で一番古参の大きな桜の木の下で手酌で酒を飲む鶴丸。

約束は呪いか、それとも願いか。

鶴丸に約束をした誰かは、「約束を果たすために生きること」を鶴丸に願ったのかもしれませんね。

内番姿で現れた三日月と鶴丸のシーンでは桜吹雪が舞っていました。

本丸の季節はまだ梅の、桜は咲いていない頃でした。

あの一瞬の三日月と鶴丸の邂逅も夢か幻かかつての記憶なのでしょう。

残された鶴丸は消えた三日月の方を見つめながら一振りで掠れるような寂しげな声で「華のうてな」を歌うんですよ。

「半座分かつ 華のうてな 誰がためにここにあり…」

半座分かつ:極楽浄土で華の台うてなに二人並んで座る、運命を共にする

一蓮ひとつはちす:死後あなたと同じ蓮の花の上に生まれ変わりたい

類義語は一蓮托生です。ちなみに。

これは明らか半座を分かつ二人＝三日月と鶴丸として歌ってますよね？

三日月は朗々と歌っていたのに比べて対比がエグい。

「半座を分かつように二振りでいたいのに、三日月は隣に居てはくれないのか」という副音声が聞こえる。

山姥切国広が過去を仲間に話しトラウマから一歩前に進んだラストとの対比としてもエグい。

「あんま無理するな」「しゃらくせえ」の言い合いで互いに少し歩み寄ったのかと安心したところで、「寂しい」と言葉にできず、けれども歌わずにはいられなかった鶴丸で締めるの人の心案件では？？？？

やはり原案ニトロ。

鶴丸が本当に救われるには三日月が必要で、その三日月には初期刀が必要なのだとしたら、先はもう少しかかりそうです。