はじめに:刀剣乱舞初のアイスショー「刀ブレ」を観てきました
2026年10月3日・4日、国立代々木競技場 第一体育館で上演された『刀剣乱舞 – ICE BLADE -』(以下、刀ブレ)を観てきました。刀剣乱舞シリーズ初のアイスショーです。
私が観たのは、10月3日(土)19時公演と10月4日(日)11時公演の2回。どちらも2階席でした。
実は、スケートを生で観るのはこれが初めてです。アイスショーといえば、以前SNSでワンピースのアイスショーの撮影可能動画を見たことがあるくらい。そんな状態で観に行ったのですが、ひとことで書くなら「素晴らしかった」。もう少し正直に書くと「マジで凄い」でした。
観終わってからずっと「めっっちゃ好きです」という気持ちが続いているので、言葉にして残しておくことにしました。見逃し配信もあるので、気になっている方の背中を少しでも押せたらうれしいです。
『刀剣乱舞 – ICE BLADE -』ってどんな作品?
刀剣乱舞を知らない方向けに、ざっくり説明します。刀剣乱舞は、ゲーム『刀剣乱舞ONLINE』が原作の作品で、簡単にいうと「歴史を守るために日本刀が人の形を与えられて戦うタイムパトロールもの」です。
人の姿を得た刀は「刀剣男士」と呼ばれ、歴史を変えようとする敵「時間遡行軍」と戦います。刀剣男士を率いる「主」は「審神者」と呼ばれ、ゲームではプレイヤーがこの立場になります。審神者と刀剣男士の拠点は「本丸」です。舞台やアニメなど作品ごとに別々の本丸が描かれることが多く、今作の本丸は「刀ブレ本丸」と呼ばれています。
刀ブレは、トップスケーターと原作ゲームの声優陣が、八振りの刀剣男士として出演するアイスショーです。体の動きはスケーターが、声は声優さんが担当します。台詞は、声優さんが会場で生で当てる回と、収録音声の回があります。歌の部分は全公演、声優さんによる事前収録です。
出演は以下のとおりです(役名:スケーター/声優)。
- 三日月宗近:無良崇人さん/鳥海浩輔さん
- 加州清光:中野耀司さん/増田俊樹さん
- 大和守安定:佐藤由基さん/市来光弘さん
- 山姥切国広:櫛田一樹さん/前野智昭さん
- 膝丸:山本恭廉さん/岡本信彦さん
- へし切長谷部:田中刑事さん/新垣樽助さん
- 鶴丸国永:小平渓介さん・小林宏一さん(Wキャスト)/斉藤壮馬さん
- 山姥切長義:吉野晃平さん/高梨謙吾さん
- 氷の精霊(オリジナルキャラクター):坂本花織さん
- 氷の精霊(Wキャスト):岩本幸姫さん、大谷唯紗さん
※山姥切長義役の吉野晃平さんの漢字が少し違いますが、正しい漢字にすると何故かエラーになるのでこちらの漢字になっています。
ほかにアンサンブルスケーターの皆さんが出演し、太鼓芸能集団・鼓童による太鼓の生演奏もありました。演出は金谷かほりさん、脚本は元吉庸泰さん、音楽は村松崇継さんです。
物語は、全公演同じです。公式のあらすじをもとにまとめると、こんなお話です。
西暦2205年。歴史を変えようとする「歴史修正主義者」によって、過去への攻撃が始まりました。刀剣男士たちは、正しい歴史を守るために戦っています。
正しい歴史を歪め、書き換え、喰い荒らすもの、それが「偽書」。ある日、刀剣男士たちの本丸を、五つの頭を持つ龍「五頭龍(ごずりゅう)」が襲います。祠は壊され、五行の精霊たちは偽書の中へ散り散りに。そのとき、本丸の奥底で氷の精霊が目を覚まします。三日月宗近たちは、偽書が作り出した歪んだ歴史「偽史」から、五行の精霊たちを救えるのか。
刀ブレ第一印象「なんだこれ豪華盛りのパーティーセットか?」
正直なところ、ストーリーはもっとライトな感じかと思っていました。刀剣男士vs時間遡行軍の、お決まりパターンみたいなものを想像していたんです。
実際には、めちゃくちゃ重い。想像以上にストーリーが重厚でした。
刀剣乱舞には、ゲーム以外にもたくさんのメディアミックスがあります。たとえば、ストーリー重視で重厚な舞台『刀剣乱舞』(通称:刀ステ)や、歌が大きな特徴のミュージカル『刀剣乱舞』(通称:刀ミュ)。
刀ブレを観て私が思ったのは、「刀ステのような重さと、刀ミュのような歌と、ゲームのボイスを集めてアイスショーに乗っけたような、なんだこれ豪華盛りのパーティーセットか?」でした。
アイスショーを観に行ったはずなのに、なぜか声優さんのキャラソンが生えてきたのは驚きでした。歌は事前収録ですが、ゲームでおなじみの声で、刀剣男士たちがそれぞれの想いを歌い上げます。氷の上の動きと、聴き慣れた声と、重い物語が一度に押し寄せてくるので、観ている間ずっと情報量に溺れていました。
ネタバレなしで語る刀ブレの魅力
2階席から見渡した、太鼓と炎とギラギラの衣装
席は2回とも2階で、だいぶ遠かったです。でもその分、リンク全体が見渡せました。スケートのスピードは想像以上で、目の前だったらあまりのスピード感に見失っていたかもしれない、と思ったくらいです。
一方で、もっと近くでも見たかったのも本音です。今回はアリーナ席を確約できるチケット(抽選・追加料金あり)もあったのですが、アリーナ席にプラス料金を払うのも、マジでありだったなと思っています。
音響は良かったです。ただ音量がかなり大きいので、ライブ用の耳栓はあった方がいいかもしれません。
そして、鼓童による太鼓の生演奏。鼓童は海外公演も行う太鼓パフォーマンスチームです。太鼓の振動が身体に響いて、戦いの臨場感がより強く増した気がします。炎の演出もあって、アイススケートリンクなのに熱かったです。物語のあとには、太鼓のショーもありました。
衣装は、めっちゃギラッギラでした。特にへし切長谷部。それなのに、遠目でもちゃんと「加州だ!長谷部だ!」と分かるのが凄いところです。
刀剣男士の衣装は、スケートをするためにアレンジされて極力薄く軽く作られているんだと思います。マントやマフラー、羽織がたまに透けて見えました。
それでも、普段のフィギュアスケート衣装より、マントや袖、刀など動きを制限しそうな要素が多いので、あの衣装で滑る大変さは素人目にも分かりました。
刀ブレのスケーターファンの方に教えていただいた話では、衣装の煌めきはスパンコールではなく、スワロフスキーのガラスストーンを貼り付けたり縫い込んだりしたものなんだそうです。刀剣男士の衣装は、もしかしたら1キロ未満の重さしかないかもしれない、とも聞きました。
ちなみに長谷部の衣装は、ほかの観客の方から「ド派手過ぎてデコトラかと思った」「福岡背負いすぎ」「マツケンが出てきたと思った」と言われていて、私は噴きました。長谷部の元になった刀は、織田信長の刀として知られ、のちに福岡藩の黒田家に伝わった刀です。
スケーターが「刀剣男士」を演じるということ
スケーターの皆さんのことはほとんど存じ上げなかったのですが、みんな凄かったです。
声は声優さんが担当するので、スケーターの皆さんは台詞を覚える必要がありません。それなのに、口の動きと台詞や歌詞が合っていて、台詞を覚えて来てるんだとびっくりしました。
ふとした動きにも、キャラらしさや、ほかのメディアミックスでの動きを取り入れてくれています。ただ衣装を着てアイスショーをするだけじゃ、全然ありませんでした。スケーターはスポーツマンのイメージでしたが、表現者としても高いレベルの方たちでした。
特に印象に残っているのが、三日月宗近を演じた無良崇人さんです。三日月宗近は平安時代の名刀で、天下五剣の一つ。穏やかで流麗なイメージの刀剣男士です。冒頭、三日月が単独で歌とスケートを見せる場面があり、神前に捧げる歌のようでした。袖が大きくて飾りも多い衣装でスピンできるの、意味が分かりませんな。
三日月は流麗なイメージなので、ステップやジャンプを多用するよりも、滑らかに滑る姿の方がイメージに合います。無良さんの三日月は、めっちゃよかったです。氷の精霊と穏やかに言葉を交わす姿も、キャラにとても合っていました。
冒頭の手合わせから驚かされる、氷上の殺陣
出陣前、刀剣男士たちが登場する場面で、へし切長谷部と鶴丸国永が手合わせをしていました。
刀を振りながらの殺陣って、あそこまでできるんだ!?と、初っ端から驚きました。足元が滑る氷の上なのに、なんであんな腰が入った動きができるんでしょう。軽い打ち合いじゃなく、殺陣の重さが感じられるのが非常にベネ。
さらに、手合わせの最中に鶴丸が長谷部の刀を取り上げます。相手の得物を奪うのは戦闘ではままある展開ですが、両手が空いた長谷部が、そこでジャンプスピンを決める。なるほどな!?それをやるための演出でもあるのか!?上手いな!?と、びっくりしてしまいました。
スケートをする上で何が一番の邪魔になるかと言ったら刀でしょうからね。
鶴丸国永は、人を驚かせるのが好きな性格の刀剣男士で、ファンからは「ビックリ爺」とも呼ばれています。実は手合わせの最初の方で、長谷部が鶴丸に「なにか驚きを仕掛けようとしてるだろ」と言っていたんです。さすがビックリ爺こと鶴丸の仕込み。まさか観客相手への驚きとは思いませんでした。
氷の精霊・坂本花織さんの滑りに目を奪われる
氷の精霊を演じたのは、ミラノ・コルティナ五輪の女子シングル銀メダリスト、坂本花織さんです。
事前の公式紹介では「氷の精霊」とだけあったので、刀剣男士たちをサポートするような役かな、出番は多くないかもしれないけれど坂本さんの滑りが見られるのはお得だな、くらいに思っていました。
ところが、刀剣男士を観に行ったはずなのに、氷の精霊が出てくると動きが美しくて、ついつい目を惹かれてしまいます。オリンピックの銀メダリスト、凄いです。
観終わる頃には、坂本花織さんのファンになりそうになっていました。その理由はネタバレになるので、後半の折りたたみ部分に書きます。
アンサンブルの皆さんと、五行の聖獣とのペアダンス
アンサンブルの皆さんも、みんな凄かったです。
滑りながらスライディングしている方のスピードが、めっちゃ速いんです。スケートであんな風に急停止・急発進ができるものなんですね。トップスピードに乗るまでが速くて驚きました。
五行の精霊である青龍・白虎・朱雀・玄武・麒麟の聖獣は、女性スケーターの皆さんが演じていたようです。
五頭龍は、頭から胴体までの被り物。手も普通に動かせなさそうなのに、よくあれで滑れるなぁと感心してしまいました。
物語の中には、能などで演じられる「鬼女紅葉狩」の場面もあります。その場面の登場人物は、平安貴族の十二単とまではいかないものの着物や、平安時代の貴族や武士の装束である狩衣を着て滑っていました。
源頼光(平安時代の武将で、酒吞童子や土蜘蛛を退治した伝説で知られる人物)を演じたのは、坂東やゑ亮さん。なんと歌舞伎役者さんです。アイススケートができるのが、びっくりでした。
調べてみると、坂東やゑ亮さんは15歳で歌舞伎の世界に入りましたが、それ以前はフィギュアスケート競技経験者であり、フィギュアスケート6級を持つ、異色の経歴を持つ方でした。
ご本人の投稿によると、三日月宗近役の無良崇人さんは、ご自身が現役でスケートをしていた頃「雲の上の存在の選手」だったそうです。歌舞伎の立廻りとフィギュアスケートという珍しい組み合わせで声がかかり、刀ブレの約2か月の稽古に手伝いとして入っていたとのこと。12〜13年ぶりにリンクに戻ったら全然滑れなくなっていて、かなり落ち込んだ、とも書かれていました。それであの滑りなのかと思うと、また驚きます。
どの方も、滑りにくそうな格好で滑っているのが本当に凄い。自分だったら、まず滑れもしないです。
刀剣男士が五行の聖獣の力を借りて戦う場面は、ペアダンスのような演出になっています。
- エスコートする:加州清光、膝丸
- リフトする:山姥切長義
- 触れない:大和守安定、山姥切国広
- 一緒に踊る:鶴丸国永、へし切長谷部
スケート素人なので違うかもしれませんが、どれもキャラに合っているなぁと感じました。
解説なしで神話と伝説を詰め込む脚本
刀剣乱舞は歴史を守る物語ですが、今作はどちらかというと、歴史より「物語」が中心です。神話や伝説、創作として語られてきたお話が多く登場します。
刀ブレの脚本は、五行(木・火・土・金・水の五つの要素で世界を説明する、古代中国の考え方)と、青龍・白虎・朱雀・玄武・麒麟の聖獣、土蜘蛛伝説と源頼光、鬼女紅葉伝説、新選組、神生み神話を、「審神者の皆さまならご存じでしょうが」「オタクの基礎知識ですよね」みたいな顔をして、解説なしでぶち込んできます。
信頼という名の圧を感じましたね。
脚本の元吉庸泰さんは、刀ステ『十口伝 あまねく刻の遥かへ』で脚本(共同)と演出を、ミュージカル『十二国記 ‐月の影 影の海‐』で脚本と歌詞を手がけた方です。めちゃくちゃ納得してしまいました。
脚本家の方には、金一封か臨時ボーナスを支給してあげてほしいです。もしくは口座を教えてください。
撮影可能タイムのカーテンコールもキャラらしさ全開
物語のあとは、太鼓のショーを挟んで、刀剣男士たちを含めた全員のカーテンコールです。カーテンコールは撮影可能タイムで、それぞれが技を披露したり、自由に滑ったりする場面もありました。これがまた、キャラに合った動きで素晴らしかったです。
鶴丸国永は、私が観た3日はバク転(バックフリップ)を披露。4日は、刀ブレの公式イラストにあった鶴丸の技を披露していました(技名は分かりません)(追記:ハイドロブレーディングというらしいです)。二次元のイラストの動きを、リアル三次元でできるんだ?とビビりました。鶴丸はスケーターがWキャストで、私が観た3日19時公演は小林宏一さん、4日11時公演は小平渓介さんでした。演者さんが違ったおかげで2パターン見られたのも、お得だったなと思います。
大和守安定は、飛び蹴りのようなジャンプ。加州清光はバク転で、3日には2連続を披露していました。どこかの公演では刀を落とすハプニングもあったそうで、可愛いですね。回によって細かいスケートの技が違うのも楽しいところです。
千秋楽(4日19時公演)のカーテンコールは、私は現地ではなく、SNSなどに上がった動画で見ました。このあとに何もないからか、アドリブも多めだったようです。スライディングしていたアンサンブルの方(たぶん)の滑りも見られました。
キャスト全員で手をつないでお辞儀するあたりで、山姥切国広と山姥切長義(二振りあわせて「伯仲」と呼ばれます)の可愛さが動画で上がっていて、感謝しかありません。国広(櫛田さん)の長義(吉野さん)への接し方を見ると、めっちゃ伯仲を調べて研究したんだな、という感じが伝わってきました。千秋楽のカーテンコールも豪華だったので、おすすめです。
これはもう刀ブレの単騎出陣・双騎出陣
刀ブレでは、刀剣男士たちが一振り〜二振りずつ出陣します。それぞれが、何かしらの縁や所縁のある相手と向き合い、心のうちの葛藤や悩みも含めて歌い上げ、強くなっていきます。
刀ミュには、刀剣男士が一振りで出陣する「単騎出陣」、二振りで出陣する「双騎出陣」という公演形式があります。刀ブレのこの構成は、もう刀ブレの単騎出陣。双騎出陣と言ってもいいと思いました。
時間遡行軍とただ戦うだけじゃなく、歴史上の人物と、己の刀としての物語をこめたキャラソン。💯すぎます。ただ、正直に書くと、キャラソンについては「良かった」以外の記憶がほぼ飛んでいる状況です。キャラソンCDを早急にください。
ここからは、刀剣男士ごとに心が動いたところを、ネタバレにならない範囲で書きます。
膝丸については、その「物語」をあそこまで突っ込んで描いてくれるとは思っていませんでした。鶴丸国永は、ソロ曲も良かったです。
加州清光と大和守安定は、幕末の新選組・沖田総司の刀とされ、ファンからは二振りあわせて「沖田組」と呼ばれています。沖田組推しは、確実に泣きます。
山姥切長義と山姥切国広には、伯仲のデュエットがあります。長義は「本歌」(元になった刀)、国広はその「写し」(本歌を手本に作られた刀)で、作品の中ではこの関係が葛藤として描かれてきました。刀ステや刀ミュでもデュエットしていたのですが、ノルマでもあるんでしょうか。伯仲はデュエットノルマとかあるんですか?現状、各メディアミックスでコンプしています。伯仲推しを死なせるのに、澱みがなさ過ぎます。
へし切長谷部は、めっちゃ健やか個体でした。
そして終盤は王道の展開で、幼い存在が成長していく物語でもあります。
刀ブレを観るには:配信とBlu-ray&DVD
見逃し配信(Hulu・DMM TV)
刀ブレは、HuluとDMM TVで見逃し配信されています。視聴料金は4,000円(税込)です。
- 10月3日公演:10月11日(日)23:59まで(購入は20:59まで)
- 10月4日公演:10月12日(月)23:59まで(購入は20:59まで)
期限が近いので、気になっている方は早めにチェックしてみてください。
観る回の選び方
台詞を生で当てる声優さんの会場出演は、日によって違います。
- 10月3日:山姥切国広・山姥切長義の声優さんが会場出演(加州清光・大和守安定は収録音声)
- 10月4日:加州清光・大和守安定の声優さんが会場出演(山姥切国広・山姥切長義は収録音声)
- 鶴丸国永の声優さんは、両日とも収録音声
推しの声優さんが生で台詞を当てる回を観たい方は、日を選んで配信を購入してみてください。また、鶴丸国永はスケーターもWキャストなので、回によって違う鶴丸が観られます。4日の千秋楽のカーテンコールも豪華だったので、おすすめです。
Blu-ray&DVD
2027年2月24日に、Blu-ray&DVDが発売されます。DAY1(10月3日公演)とDAY2(10月4日公演)の本編を収録。さらに、声優キャストや板垣奏太郎さんの歌唱による本編のオリジナル楽曲を収めた、サウンドトラックCD2枚組が付きます。キャラソンCDとても助かります。初回製造分には、台本レプリカの特典も付きます。
【DVD】『刀剣乱舞 – ICE BLADE -』:11,000円(税込)
【Blu-ray】『刀剣乱舞 – ICE BLADE -』:11,999円(税込)
こんな人におすすめ
刀剣乱舞を知っている人なら、マジでおすすめです。
- 供給がお淑やかな鶴丸国永推し
- 膝丸単体の物語が見たい人
- へし切長谷部推し、伯仲推し、沖田組推し
特に、膝丸と鶴丸推しはマジで見たほうが良いです。
ちなみに私の推しは鶴丸国永で、初期刀は加州清光です。でも、全員良かったです。
刀ブレ運営への不満
内容は本当に素晴らしかったのですが、運営には不満もあります。今回炎上したのは、だいたい運営の問題だったと思っています。
チケットは、一人で何公演分も取れるのが、ちょっとおかしい気がしました。いつもチケットがほとんど取れない刀ステや刀ミュのノリで応募したファンにも原因はあります。ですが、刀ミュや刀ステもそうですが、仕組みを変更してほしいですね。
席の価格は、全席指定が19,000円(税込)。ほかに注釈付きチケット(12,000円)と、抽選のアリーナ席確約チケット(追加4,000円)がありましたが、全席指定は2階の天井席でも同じ価格です。運営が違うワンピース・オン・アイスのときは、3万円台のアリーナ席から8000円台の席まで選べたと聞きました。もっと細かく席を分けることもできたはずです。
物販では、トレーディングカードが開始30分で完売しました。応援用のタオルとかも当日の初回公演までに完売してましたね…。初回なので売れ行きが読めないのは分かります。ただ、事前通販はなく、事後通販があるならば、もっと多く準備してもよかったのではと思います。応援グッズについては、公演が終わってからではあまり意味がないので、事後通販ではほとんど買わないと思いますし。
告知も遅かったです。応援グッズ、諸注意、グッズ販売のお知らせは、公演まで10日を切ってからでした。スケート界隈では応援バナーを作ったりするので、告知は普通もっと早いそうです。ワンピース・オン・アイスでは、2か月前から告知されていたと聞きました。
それでも、内容は素晴らしかった。だからこそ続編を強く希望していますし、運営はもっと改善をしてほしいと思っています。
【ネタバレあり】詳細感想
ここから先は物語の結末までのネタバレを含みます。クリックで開きます
二柱の氷の神と、刀ブレ本丸の物語の設定
私の理解で、物語の設定を整理します。
氷の精霊は、作中では高龗神・闇龗神という二柱の双子の神様でした。
日本神話では、イザナギとイザナミは国生みの後、多くの神々を生みます。最後に火の神カグツチを生んだことでイザナミは大火傷を負って亡くなり、嘆いたイザナギはカグツチを斬り殺します。
その際に生まれた水神として、『古事記』には闇淤加美神、『日本書紀』の異伝には高龗神などが登場します。刀ブレでは、この高龗神・闇龗神が一対の「氷の神」として描かれていました。この二柱は、氷の剣=アイスブレードでもあります。
二柱の役目は、偽書から生まれた偽りの歴史=偽史が正しい歴史に影響を与えないよう、凍らせて眠らせること。祠に祀られているようだったので、私は最初「刀ブレ本丸は、その祠を守護する役目をもった本丸なのか」と思っていました。「2つのアイスブレード=スケート靴ということか?」ともなりました。
二柱のうち一柱は、未来への不安や自身の役割への疑問を抱えて、成長が止まってしまった小さな神様です。演じていたのは、氷の精霊のWキャスト、岩本幸姫さん・大谷唯紗さん。最初はキッズスケーターかな?と思いました。もう一柱が坂本花織さん演じる氷の神で、小さな神様を支えてきた存在です。
どちらが高龗神でどちらが闇龗神なのかは分かりづらかったので、ここでは「坂本花織さん演じる氷の神」「小さな姫神」と呼びます。
時間遡行軍が祠を狙ったのは、力の弱った氷の神の力を取り込むため。攫われかけた小さな姫神を庇って、坂本花織さん演じる氷の神が五頭龍に攫われてしまいます。刀剣男士たちは、正史ではなく偽書から生まれた偽史を修正するため、一振り〜二振りずつ、それぞれの偽史の世界へ出陣します。三日月宗近は出陣せず、小さな姫神と対話していました。
「物語の世界」への出陣だと感じた理由
観ながら「これは、物語の世界、ということかな?」と思っていました。
偽書・偽史の例え話で、三日月宗近がかぐや姫の存在について話していたこと。各出陣先が、史実には本来なら存在しない、「物語」として語られたような内容だったこと。滝夜叉姫は、江戸時代に作られた創作の中の登場人物です。やっぱり物語世界なのか?と。
刀剣乱舞の別のゲーム『刀剣乱舞ぱずぎり』は、物語の世界を守るために出陣するパズルRPGなので、そことも何かリンクさせていそうだなと感じました。
神話まで遡るとは思いませんでした。これも、表では語られない歴史と物語=偽書、ということなのかなと思っています。
膝丸:土蜘蛛伝説の裏にある物語
膝丸の出陣先は、土蜘蛛伝説の世界でした。
膝丸には、かつて土蜘蛛を退治したことから名付けられた「蜘蛛切」という別の号があります。源頼光が土蜘蛛を退治した土蜘蛛伝説によるものです。
『土蜘蛛』という言葉には、古代の記録で朝廷に従わない人々を指した用例もあります。刀ブレでは、妖怪退治として語られてきた土蜘蛛伝説の裏側に『まつろわぬ民』を重ねていました。つまりは、土蜘蛛を斬ったという伝承をもつ膝丸の、裏の物語です。
膝丸は、かつての持ち主・源頼光(坂東やゑ亮さん)と共闘するように、土蜘蛛と、土蜘蛛を守るようにいたまつろわぬ民と対峙します。化け物ではなく、人を斬る。葛藤を抱えながら戦う歌でした。
膝丸は、ほかのメディアミックスではだいたい兄弟刀の髭切とセットで、「源氏の重宝」として顕現することが多いんです。歌舞伎でも膝丸は蜘蛛と対峙していましたが、「膝丸の物語」が主題ではありませんでした。源頼光の化け物退治は劇場版『刀剣乱舞-黎明-』でも触れられていましたが、膝丸と関わることはありませんでした。
もっと深掘りできそうなのにもったいないなぁ、とずっと思っていたので、今作で、複数パートのうちの一つでありながら、かなりの深掘りを見せてくれたことに感謝しています。
山姥切長義と山姥切国広:鬼女紅葉狩
伯仲の出陣先は、能でも演じられる「鬼女紅葉狩」。平維茂(平安時代の武将)が戸隠山で鬼女・紅葉を討つお話ですが、今作では「平維茂は鬼女に喰われて成り代わられた」という物語の一つとして描かれます。ちなみに平維茂は、鶴丸国永の持ち主の一人とも言われる人物です。
二振りが対峙するのは、鬼女に成り代わられた平維茂。見た目は女性かつ鬼で、山姥のようでした。本物の平維茂を食って、偽物が本物に成り代わる。
山姥切の伝承を、本歌の長義ではなく、写しの山姥切国広が持っていること。それを「偽物が本物を食って成り代わる」ことになぞらえているんだろうなぁ……。伯仲推しが何をしたというんでしょう。
それでも、山姥を斬る山姥切長義と山姥切国広の再現となったのは胸熱でした。歌い上げるのは、長義と国広のデュエットです。
鶴丸国永:蘇った北条高時
鶴丸の出陣先は、鎌倉幕府末期。北条高時が蘇って、新田義貞を倒そうとします。
北条高時は、鎌倉幕府末期の執権(幕府の実質的な最高職)です。幼くして執権となり、新田義貞の鎌倉攻めで幕府が滅亡した際、一族・家臣と共に自害しました。
蘇った高時と対峙した鶴丸は、「黄泉がえりなんて碌なもんじゃない」と言います。鶴丸自身も、かつての持ち主と共に墓に葬られたはずが、墓を荒らされて持ち出された過去を持っている刀です。
若くして執権に就くしかなく、傀儡になった高時を憐れみながらも、高時がいたから鎌倉は美しくなり、高時だったから家臣は腹を切って共に果てたのだと鶴丸は言います。倒さなければいけないけれど、鶴丸なりに高時の心を救おうとしているのが分かりました。
北条高時の物語は、大河ドラマを観ているようでした。
鶴丸が力を借りる五行の聖獣は、玄武。
作中では、玄武は『黄泉を渡る獣』として語られていました。
そして鶴丸の「鶴じゃあ、あの世まで飛べないからな」という台詞が、胸にきました。
黄泉を飛んで会いたい人物でもいたのでしょうか。
鶴丸の白装束が白無垢にも死装束にも見えるのは、あの世まで付いていきたい誰かがいたんでしょうか。
この刀は、年長者のためか傍観者に回ることが多いんですよね。鶴丸国永の感情や心情をここまで吐露している姿はほとんど見たことがなかったので、これまた驚きました。
鶴丸国永にこうも焦点を当てた物語やメディアミックスは今までになかったので、本当に感謝です。
加州清光と大和守安定:幕末の京
沖田組の出陣先は、幕末の京。対峙するのは、復讐者となり、がしゃどくろを使役する滝夜叉姫です。
滝夜叉姫は、江戸時代の創作や伝説の中で平将門の娘として描かれ、父の復讐のため妖術を使う人物です。がしゃどくろは、無念を抱えて死んだ者たちの怨念が集まって生まれる、巨大な骸骨の妖怪です。
滝夜叉姫は二振りに「お前たちも変えたい過去があるだろう」と嘯きますが、加州は「もうそこは通り過ぎている」とかわします。めっちゃ安定している加州です。何年も刀剣男士として戦ってきた貫録を感じました。
そんな中で現れたのは、蘇った沖田総司でした。がしゃどくろが無念を抱えて死んだ者たちの怨念から生まれる妖怪なら、本当にあの世界での沖田総司だったのかもしれません。
加州も安定も「沖田くんはもっと強かった」と、迷いを振り切るように戦っていきます。
加州が「折れたくなかった、戦いたかった」と歌い、安定が「連れて行ってほしかった、一緒に居たかった」と歌う。彼らの本心であり、それでも歴史と今の主のために戦う二振りに、胸を突かれました。刀ステの心伝(加州清光と大和守安定が登場し、新選組の物語が描かれた作品)を思い出してしまったのもあって、ガチ泣きしたのは私です。
へし切長谷部:神生み神話
最後の出陣は、へし切長谷部。織田信長の偽書かと思いきや、神生み神話の中でした。二柱の氷の神が生まれた瞬間ともいえます。
歴史を変えたいと願っていたのは、カグツチでした。いや……分かりますけれども。火の神が殺されてしまったことで、人の手で火が扱えるようになった、という物語でもあるのでしょう。
生まれる際に死なせてしまったイザナミを甦らせれば、自分は父母から愛されたのか、父から捨てられなかったのかと嘆くカグツチ。長谷部にはかなりクリティカルヒットでしょうに、長谷部は揺らがずに返します。
これまためっちゃ安定した健全個体です。主に愛されている自信に満ちた長谷部でした。歌もめちゃくちゃ格好いいです。ほかの刀剣男士は、まだ葛藤や悩みを抱えながら戦う感じなのですが、長谷部は葛藤パートが秒で終わっています。
刀ブレ本丸の主の正体
刀剣男士たちが五行の力を解放し、三日月宗近との対話でも勇気づけられた小さな姫神は、戦うことを選びます。
その小さな姫神の前で、三日月宗近が名乗りをあげました。……え?と思っていたら、三日月が彼女を「主」と呼んで、ええええ!?となりました。
刀ブレ本丸が祠と氷の神を守護していたとかじゃなく、刀ブレ本丸の主が氷の神だったの!?
再び五頭龍と対峙する刀剣男士たち。三日月が「主と戦う」的なことを言うと、面々が騒然とします。「主が?」「どこに?」となっていました。主に長谷部が。
「あとから話を聞かせろ」「清光もだから」と、加州も詰められます。加州は「それ濡れ衣だから!」と慌てていました。つまり加州は、氷の神が主だと知っていてもおかしくない立場、初期刀の可能性が非常に高いということです。
今まで主の姿を見たことがなかったっぽい刀ブレ本丸、改めてすげえなと思いました。あの加州や長谷部の健全さを見ると、十分に愛されていると実感していないと、ああはならないはずです。姿を見せないまま本丸を運営してきた手腕と差配が、凄すぎます。
立ちはだかる氷の神と、小さな姫神の成長
五行の聖獣の力を借りて、五頭龍と対峙する刀剣男士たち。聖獣と刀剣男士たちの、ペアダンスのような戦いです。
ところが、五頭龍に取り込まれてしまった坂本花織さん演じる氷の神が、刀剣男士たちの前に立ちはだかります。刀剣男士たち全員を薙ぎ払うメダリスト、強い。
慈母のような審神者じゃなく、戦ってもガチで強い審神者、めっっちゃ好きです。氷の神というだけでもチート審神者なのに、説得力があり過ぎます。ここにきて、坂本花織さんのファンになりそうになりました。
そして、小さな姫神が坂本花織さん演じる氷の神と対峙します。説得し、発破をかける。悩みと迷いから己の成長が止まってしまったことと、それを乗り越えようとしている姿が描かれます。幼い子が成長していく物語、マジで大好きです。
小さな姫神を演じた子は、めちゃくちゃ上手いんです。あと、とても可愛い。ちみたんは正義。出ずっぱりで大変そうで、大丈夫かなと心配にもなりました。
刀剣男士たちが五頭龍を抑えている間に、小さな姫神が坂本花織さん演じる氷の神を正気に戻します。王道展開ですが、みんな大好きだから王道なんですよ、こういうのは。好きです。
真剣必殺
終盤には、刀剣男士たちの真剣必殺があります。真剣必殺は、刀剣男士が傷を負って服が破れた状態で、本気を出して強力な攻撃を放つこと。キレるとか、本気を出す感じのものです。
今作では、負傷によって衣装がパージされる演出になっていて、衣装の面積というか、布が激減していました。
スケーターの皆さんは、寒くなかったでしょうか?弊コンテンツがすまん、という気分になりました。マフラーやらがキャストオフして、肌色が見えていませんか、肌色衣装ですか、とビックリしましたが、ありがとうございます。弊コンテンツがすみません。あれは勝ち確演出というか、変身バンクみたいなものです。ありがとうございます。
スケートファンの方からも、びっくりしたという声があったそうです。そうでしょうとも、すみません。
ただ、袖やマントやマフラーのある衣装よりも本来のスケーターの衣装に近くなったせいか、スピードも迫力も上がって、ジャンプや技が軽やかに披露されるようになりました。「真剣必殺で本気を出した」感があって、良かったです。真剣必殺=強くなる、という概念と合わさっているのがちょっと面白いところでした。
アイスブレードとタイトル回収
真剣必殺で五頭龍を圧倒する刀剣男士たち。そして二柱そろった氷の神が、「アイスブレード」を発動させます。刀剣乱舞歴11年で初めて聞きましたが、なんて?
偽書から生まれた偽りの歴史=偽史が、正史に影響を及ぼさないよう凍らせる。あれって、そんな必殺技みたいな感じだったんです?五頭龍を凍らせて、決着です。
アイスブレード=スケート靴=二対で一つの氷の神=氷の剣で、歴史を守る神様。アイススケートに、よくぞここまで絡めたなと感心してしまいました。こういうタイトル回収も、大好きです。
最後は、三日月宗近の「俺たちの本丸について皆に話そう」という語りで締めくくられ、物語は幕を閉じます。
おわりに:続編希望
アイスショーを観に行ったら、重厚な物語とキャラソンと氷上の殺陣がまとめて押し寄せてきた。刀ブレは、そんな作品でした。
運営には言いたいことがたくさんありますが、内容は本当に素晴らしかったです。スケーターの皆さん、声優の皆さん、アンサンブルの皆さん、鼓童の皆さん、そして脚本の元吉庸泰さんをはじめとするスタッフの皆さん、素敵な時間をありがとうございました。
続編希望。マジで、本当に。
読み返して思い出してしまった方、ネタバレを読んで観たくなった方は、ぜひ配信でどうぞ。見逃し配信はHuluとDMM TVで、10月3日公演は10月11日(日)、10月4日公演は10月12日(月)の20:59まで購入できます。
配信に間に合わなかった方は、2027年2月24日発売のBlu-ray&DVDがあります。キャラソンを何度でも聴けるサウンドトラックCD付きです。
【DVD】『刀剣乱舞 – ICE BLADE -』:11,000円(税込)
【Blu-ray】『刀剣乱舞 – ICE BLADE -』:11,999円(税込)



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